2020年05月17日

コンピュータ囲碁プログラム「GLOBIS-AQZ」のインストールと使いかた - Ubuntu編

グロービスからオープンソース化のアナウンスが出たGLOBIS-AQZ」、「AQ」GitHubレポジトリの日本語の説明によれば、

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「GLOBIS-AQZ」はDeep Learning技術を利用した囲碁の思考エンジンです。
日本ルール6目半と中国ルール7目半の両方に対応していることが特徴です。

このプログラムはGLOBIS-AQZプロジェクトの成果を利用しています。

GLOBIS-AQZは、開発:株式会社グロービス、山口祐氏、株式会社トリプルアイズ、開発環境の提供:国立研究開発法人 産業技術総合研究所、協力:公益財団法人日本棋院のメンバーによって取り組んでいる共同プロジェクトです。このプログラムは、GLOBIS-AQZでの試算を活用しています。


オープンソース・ソフトウェアですので、どなたでも無料で使用することができます。
対局・解析のためのプログラムですので、「Lizzie」「Sabaki」「GoGui」といったGUIソフトに設定して利用してください。
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とのこと。
「AQ」のバージョンとしては「v4.0.0」というあつかいになるようなので、ここでは「AQ v4.0.0」として話をすすめていくことにします。
NVIDIA製GPUを搭載したコンピュータに「CUDA」環境を構築して、コンピュータ囲碁プログラムを動かすというのはとても楽しい作業で、いろいろ動かしてはみるんだけど、やっぱりhatakazuはなかでも「AQ」がいちばん好きでずっと応援しています。
開発者が日本人ということで当初より日本ルールに対する親和性が感じられましたが、今回ははっきりと「日本ルール+コミ六目半」対応を打ち出しており、こんなに強いコンピュータ囲碁プログラムが完全日本仕様で動作するというだけでも、日本の囲碁を楽しむすべてのひとにとってかぎりなく大きなプレゼントのようなものだと思っています。

1. 前提となる環境
インストールするコンピュータの仕様は以下のとおり。

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Dell Inspiron 14 7472 Core i7モデル 18Q42P
OS:Ubuntu 18.04 LTS 日本語 Remix
CPU:インテル Core i7-8550U (4Mキャッシュ、最大4.0GHz)
GPU:NVIDIA GeForce MX150 GDDR5 2GB
メモリー:8GB DDR4 2400MHz(最大16GB)
保存装置:128GB SSD (Windows10 Home 64bit) + 1TB 5400rpm HDD (Ubuntu 18.04 LTS 日本語 Remix)
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「AQ」をインストールするさいの動作要件は、以下のように記述されています。

・OS : Windows 10, Linux (64-bit)
・GPU : Nvidia's GPU (Compute Capability >3.0)
・CUDA Toolkit 10.0 or 10.2
・TensorRT 7.0.0

64bit版のWindows 10およびLinuxに対応、Compute Capability 3.0以上のNVIDIA製GPUをそなえたコンピュータで、「CUDA 10.0 or 10.2」+「TensorRT 7.0.0」環境が必要とのこと。
これから「AQ v4.0.0」をインストールするにあたっては、あらかじめ「「Ubuntu 18.04 LTS 日本語 Remix」に「CUDA 10.0」+「TensorRT 7.0.0」をインストールする」の記述のとおりに「CUDA 10.0」+「cuDNN 7.6.5」+「TensorRT 7.0.0」環境が構築されていることを前提としています。
なお、「AQ」として公開されているのはGUIをもたない囲碁思考エンジン部分のみなので、グラフィカルに対局や棋譜分析をおこなうためにはGTPを解釈できる囲碁GUIと連携させる必要があります。

2. 「AQ」インストールファイルのダウンロード
「AQ」の現行バージョンは「v4.0.0」で、「AQ」GitHubレポジトリの「Releases」ページから「AQ_linux.tar.gz」をクリックして、Linux用バイナリファイル「AQ_linux.tar.gz」を取得します。

3. 「AQ」のインストール
ダウンロードした「AQ_linux.tar.gz」ファイルを解凍すると、「AQ」ディレクトリが生成します。
この「AQ」ディレクトリのなかにGTP思考エンジン本体である「AQ」や設定ファイル「config.txt」などがふくまれているので、この「AQ」ディレクトリをそのまましかるべき場所(たとえば「~/AQ」など)に設置すれば、インストール作業は終了です。
$ tar zxvf AQ_linux.tar.gz
$ mv AQ ~/


4. 「AQ」の設定
「AQ」フォルダのなかにGTP思考エンジン本体「AQ」といっしょに設定ファイル「config.txt」が置かれており、この設定ファイル「config.txt」の内容を編集することで、次回起動時以降「AQ」のふるまいを変更することができます。
グロービスのオープンソース化アナウンスのなかで大橋拓文六段の「今回オープンソース化されるGLOBIS-AQZは日本ルールでの自己対戦を1千万局以上行いました。これまでほとんどの囲碁AIは中国ルール、コミ7目半でトレーニングされていたので、日本ルール特有のケースとコミ6目半に対応したGLOBIS-AQZは画期的です」というコメントが出ていましたが、「日本ルール」と「コミ六目半」への設定変更は、このファイルにいくつかの変更をほどこすことで実現します。
(じっさいには設定ファイル「config.txt」はいじらず、思考エンジン「AQ」を呼び出すときに、そのつどオプションで指定することもできます。方法は連携する囲碁GUIごとに後述。)
以下に、編集する可能性のある項目だけ抜き出して、各項目の意味と設定方法を記述します。

#### --- Rule --- ####

# Rule of game.
# 0: Chinese, 1: Japanese, 2: Tromp-Tralor
# --rule=0
--rule=1 # 基本ルールを日本式に設定する。

# Komi. Use 6.5 for the Japanese rule.
# --komi=7.5
--komi=6.5 # 日本ルールを選択した場合は、コミも六目半に設定する。

#### --- Time control --- ####

# Main time. (in seconds)
--main_time=0.0 # 秒読みにはいるまえのいわゆる持ち時間を秒単位で入力。秒読みのみの場合は「0」に設定する。

# Japanese byoyomi time. (in seconds)
--byoyomi=3.0 # 持ち時間が切れたあとの秒読みの長さを秒単位で入力。秒読みなし切れ負けの場合は「0」に設定する。

# Threshold of remaining time that AQ returns
# a move without search. (in seconds)
# Used in 'sudden death' time setting.
--emergency_time=15.0 # 秒読みなしの場合に、持ち時間がここで指定した秒数より短くなると、ノータイムで打ちはじめる。

#### --- Search --- ####

# Whether using pondering.
# --use_ponder=on
--use_ponder=off # 相手の手番でも考慮する「ponder」機能を使う場合は「on」に(「Lizzie」で利用する場合は必須)、使わない場合は「off」に設定する。


5. GTP対応囲碁GUIとの連携方法
「AQ」として公開されているのはGUIをもたない囲碁思考エンジン部分のみなので、グラフィカルに対局や棋譜分析をおこなうためにはGTPを解釈できる囲碁GUIと連携させる必要があります。
「AQ」ディレクトリをたとえば「~/AQ」に設置したとして、「/home/username/AQ/AQ」(「username」はお使いのユーザ名)が、囲碁GUIに登録するべきGTP思考エンジンへのパスになります。

5-1. GTP対応囲碁GUI「GoGui」への思考エンジン登録
メニューバーの「プログラム」から「新規プログラム」を選び、あらわれた画面の「コマンド:」欄に囲碁思考エンジンの絶対パスを入力します。
たとえば「AQ」フォルダを「/home/username/AQ」に設置した場合、「コマンド:」欄に入力する絶対パスは「/home/username/AQ/AQ」のようになります。
オプションを指定するときは、「/home/username/AQ/AQ --rule=1 --komi=6.5 --byoyomi=10 --use_ponder=off」のように、一行でつづけて書きます。
上記は「日本ルール、コミ六目半、一手10秒で着手、ponder機能無効」設定の例ですが、「AQ」フォルダにある設定ファイル「config.txt」のほうでおなじように設定していれば、「コマンド:」欄への入力は「AQ」の絶対パスだけで問題ありません。
「OK」ボタンを押下して何度か「待機」をクリックしながら待っていると、ステイタスバーに表示されていた「プログラムの開始中」メッセージが消えて新規プログラム登録画面が開くので、「ラベル:」欄にたとえば「AQ」などと入力して「OK」ボタンを押下します。
これで登録完了となるので、次回以降はメニューバーの「プログラム」 -> 「プログラムの起動」とすすんで「AQ」を選ぶと、「AQ」が起動して対局や棋譜分析に利用できるようになります。
登録した囲碁思考エンジン「AQ」と対局するには、「AQ」を起動した状態で、メニューバーの「対局」から「碁盤サイズ」「置石」「コンピュータの手番」を指定したうえで、「新規対局」をクリックします。
検討したい局面を指定して、そこで「AQ」がどう打つかをみることもできます。
「AQ」を起動したあと、メニューバーから「コンピュータの手番」を「なし」にして、どんどん石を置いていって対象となる局面をつくり、黒番の局面なら「AQに黒を打たせる」、白番の局面なら「AQに白を打たせる」アイコンをクリックします。
そのさい「GTPシェル」を開いておけば、「GoGui」と「AQ」との通信内容が表示されるので、なにか問題がある場合は問題解決の手がかりを得ることができます。

5-2. 「Sabaki」への思考エンジン登録
メニューバーの「Engines」から「Manage Engines」を選び、あらわれた画面で「Add」をクリックします。
「(Unnamed Engine)」と表示されている欄にカーソルをもっていって、わかりやすい表示名を、そして「Path」欄に囲碁思考エンジンの絶対パスを入力します。
たとえば「AQ」フォルダを「/home/username/AQ」に設置した場合、「(Unnamed Engine)」欄にカーソルをもっていって「AQ」と入力、「Path」欄に絶対パス「/home/username/AQ/AQ」を指定します。
「(No arguments)」欄には「--rule=1 --komi=6.5 --byoyomi=10 --use_ponder=off」のようにオプションを指定しますが、「AQ」フォルダにある設定ファイル「config.txt」のほうでおなじように設定していれば、ここは空欄のままで問題ありません。
登録した「AQ」と対局するには、メニューバーの「File」から「New」をクリックします。
開いた画面で「Board Size」「Handicap」「Komi」を指定のうえ、黒番と白番それぞれの担当者を選択します。
自分が担当する手番は「Manual」を選択、「AQ」に担当させる手番は登録されている思考エンジンの表示名から「AQ」を選んで、「OK」ボタンを押下します。
「Sabaki」にほかの囲碁思考エンジンを登録しておいて、「AQ」をほかの思考エンジンと対局させることもできます。
その場合は、対局させる思考エンジンの両方について「ponder」機能を無効化するように設定し、互いの思考をさまたげないかたちで対局をおこなう必要があります。

6. 問題点
インストールして動かしてみて、いくつかうまくいかないところがあるので、備忘として列記しておきます。
解決したら追記します。

6-1. 「Lizzie」への対応
「AQ v4.0.0」から「Lizzie」との連携が可能になり、「Lizzie」のエンジン登録画面で思考エンジン「AQ」へのパスを「--lizzie」スイッチをつけて指定すればO.K.ということになっているが、「--lizzie」オプションをつけてもつけなくても「Lizzie」とはうまく通信できていない。
5月19日追記:「Lizzie」のエンジン登録画面で思考エンジン「AQ」へのパスを「--lizzie」をスイッチをつけて指定することで、「AQ v4.0.0」を「Lizzie」を連携させて、「Lizzie」での棋譜分析に「AQ v4.0.0」を使うことができるようになります。
最初何度やっても通信が確立されなかったのですが、「Lizzie」で先に起動していた「Leela Zero」や「KataGo」がメモリを予約する影響で、「AQ」が必要なメモリを確保できなかったのが原因のようです。
現時点では「AQ」をデフォルトで起動する「エンジン0:」に登録しており、「Lizzie」を立ち上げると同時に「AQ」エンジンが開始されてメモリを割り当ててしまうので、問題は回避できているようです。


参考ウェブページ一覧表(順不同)

「AQ」開発者である山口祐さんのtwitter「https://twitter.com/ymg_aq」
https://github.com/ymgaq/AQ
https://github.com/ymgaq/AQ/releases
https://github.com/ymgaq/AQ/blob/master/README_JP.md
posted by hatakazu at 18:46
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